DNAM-1について
癌細胞やウイルスに感染した異常な細胞を、免疫システムの細胞が直接殺す働きを細胞傷害活性と言います。細胞傷害活性を持つ細胞としてCD8 T細胞やNK細胞などが知られています。
DNAM-1はこれらCD8 T細胞やNK細胞を活性化して細胞傷害活性を引き起こすレセプターとして我々の研究グループが同定した分子です。
DNAM-1分子はCD4 T細胞、樹状細胞、マクロファージなどにも発現しており、細胞傷害活性の制御のほかにも様々な免疫機能に関わる分子だと考えられています。
さらに私たちは、DNAM-1と結合する相手の分子、リガンドの同定にも成功しました。
DNAM-1リガンドであるCD155とCD112はウイルスレセプターとして発見されていたものの、その生理機能はこれまでよく分かっていませんでした。つまりこれらの分子の生理機能はDNAM-1のリガンドであるということが明らかになったわけです。
DNAM-1リガンドは正常細胞に発現していますが、興味深い事に細胞の癌化に伴ってその発現が上昇します。つまりCD8 T細胞やNK細胞はDNAM-1を利用して、DNAM-1リガンドを強く発現する癌細胞を殺し、絶えず細胞の癌化を監視していると考えられます。